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2014.01.21
皆さんこんばんは。
…と書き始めると、大方の人が藤田氏の投稿かと思うかもしれませんが、これは竹内の投稿です。何気に、この TRI4TH ブログでは初投稿…。よろしくお願いします。
現在、メンバーの皆で、3rd アルバム『Five Color Elements』で作曲した曲の解説をしているところで、既に何人かは解説を始めているようですが、それぞれ色々な書き方があって面白いですね。メンバーの個性がそのまま垣間見えるようです。
…というわけで、自分も解説をしたいと思いますが、そもそも、どの曲を誰が作曲したか…というのは意外に知られていないでしょう。…と言うのも、それぞれの作曲者が誰かというのはCDには明記していませんし、ライブ中でもあまり発表していないからです。この事については様々な意見がありそうですが、逆に、曲調から誰が作曲したかを予想する楽しみもあり、自分としてはそれも有りかな…と思っている次第です。…そうなると、自分が作曲した曲の曲解説というのは、そういった楽しみを1つ奪ってしまう事にも成り兼ねないわけですが(笑)、そんな事を言っていると一生解説が出来ないので、ここでは思い切って曲を解説する場として書かせて頂きます。どうぞ御覧下さいませ。
…と、解説に行く前に、自分の作曲した曲を挙げておきましょう。
・Everybody Knows That(CD4曲目)
・No Window,No Aisle(CD5曲目)
・Flash by Flashback(CD8曲目)
この3曲です。皆さん、予想出来ていたりしたのでしょうか?…それでは、順に見ていきたいと思います。
・Everybody Knows That
これはPVにもした曲なので、CDを購入していない方にも聴いて頂けていると思います。御存知の通り、自分は TRI4TH には後から加入した立場でして、加入した当時は 2nd アルバムのプリプロの真っ最中という感じで、既にCDのコンセプトが出来上がった状態での加入となっていたのでした。ここでも1曲だけ、“New Life Standard”という曲を提供しましたが、あくまでも、コンセプト上に「乗っかって」提供した曲でもありました。
その状況を経ての、この 3rd アルバム…。今回は堂々とコンセプトから参加する事ができ、アルバム全体の構想の1つのキーワードとして、ヨーロッパ・ジャズ…というものに辿り着きました。ヨーロッパ・ジャズとは、一言で説明するのは難しいのですが、いわゆるジャズが生まれたアメリカのそれとは異なり、非常に洗練されていて、クラシック的な要素が加わり、アドリブの応酬…というよりは、メロディアスな部分を重んじる感じ…とでも言いましょうか。個人的には大好き且つ、突き詰めていきたい分野でもあり、それはプレイスタイルだけでなく、オリジナル曲としてその雰囲気を伝えたい…と思うのは必然でもあったのです。
こんな思いの中で、“Everybody Knows That”は生まれました。メロディはなるべくシンプルにし、突き詰めればメロディのモチーフは2種類くらいしか無いのが分かると思います(途中、転調したり、メロディにハーモニクスが付いたりしていますが、モチーフは一緒です)。コード進行で言うならば、テーマの前半はクラシック的であり、後半が少しジャズ的でもあるのでしょうか。いずれにしろ、ミディアム・テンポのワルツのリズムで展開されていくので、軽快且つ洗練された雰囲気を出せたと思います。
余談ですが、この曲は初めて、TRI4TH 用に作ったオリジナル曲でもありました。最初から、トランペットとテナーサックスの2管でメロディを作っていく光景は既に出来上がっており、そことピアノだけになる所の対比も面白く表現出来たなと思っています。
ある意味、今までに無かった TRI4TH の曲になったなと思いましたが、それが逆に良い方向に進めたようです。PVにもなりましたし、アルバム全体の雰囲気を伝える、良い道しるべの1曲とも言えると思います。ちなみにタイトルの由来ですが、その名の通り「みんな知ってるよ」とか、「当然そうでしょ」と言われるような曲にする為…だったような気がします(笑)。
・No Window, No Aisle
この曲は自分の中では珍しく、タイトルから出来上がっていた曲です。時は、スペインからスイス乗り継ぎで、日本へ向かう飛行機の機内にて…。自分は飛行機はなるべく窓側に座りたい派で、機内から見る窓の外の風景は本当に飽きる事無く、特に国際線となると、いつまでも見ていたい感じになるのですが(洋上飛行や雲上飛行は別ですが…笑)、この時の席というと、一番中央の席…つまり、窓側(Window)でもなく、当然通路側(Aisle)でもなく、左右に人に挟まれた、何とも言えない席が指定されていたのです。スイスから東京の成田までの飛行時間は約12時間…。この時間をどうしてくれようか…という思いから、何故だか曲に発展していきました(笑)。
思いだけは強かったので、とにかく印象的なメロディを残してやろうと(笑)、サビと言える部分から曲は始まり、そのままホーンがそのメロディを弾き始めて、その後の展開へと入っていきます。第1の展開は少々複雑にし、ピアノとベースのユニゾン・メロディ、そして第2の展開では激しめで、ホーンの2人が新たなメロディをとっていきます。その印象はそれぞれのソロの部分でも引き継ぎ、サックスソロは勢いはそのままに、そしてピアノソロでは少し緩急を付けた展開に入っていきます。この緩急の変化が、いわゆる感情の変化そのものなのだと、後から自分でも気付いた感じでした。今でもこの曲を演奏する度に、当時の機内の様子が思い出されるのです…。ただ、飛行機は基本的に好きな乗り物である事は、頭の片隅にでも入れておいて下さい(笑)。
・Flash by Flashback
CD唯一の、サックス(ソプラノ)とピアノのデュオ曲です。ヨーロッパ・ジャズの中でも、更にクラシックの雰囲気に寄せて作ってみました。この曲も最初から描いていた構想があり、それは、サックス藤田氏のソプラノサックスがメロディをとる…というものでした。彼のソプラノサックスを聴いた方は分かると思いますが、非常に音色が美しく、それこそクラシックを思い起こさせるような表現力があります。その特徴を是非とも世に伝えたく、ピアノは伴奏者という立場ではありますが、時にサックスとユニゾン、時にメロディラインのハーモニーをさり気なく付けたりして、サックスのメロディを更に引き立てます。恐らく、普通にコード進行通りのピアノ伴奏をしても、このような雰囲気にはなりません。自分の中でも相当拘って弾いている部分でもあります。
前々から自分は、このような曲を作りたいな…とは思っていました。そもそも自分の音楽のルーツは、3歳から始めたクラシックピアノであり、それは何だかんだで20歳までは継続してやってきた事なので、自然とその要素は頭の中に組み入れられているのです(昔習っていたソナチネですとか、今でも、どの部分を注意されたとか、細かく覚えてますからね…)。そして、そんなクラシック要素の強い曲で、ジャズの要素である「アドリブ」を用いて演奏していく…。これぞ、ヨーロッパ・ジャズに対する、自分達流の1つの答えでもありましょう。そして、2人がそれぞれアドリブ演奏をし終えた所に出て来る、新たな展開…。ここもメロディとハーモニクスを綺麗に揃えた部分で、実はこの曲一番の見所とも言えるかもしれません(ジャズの曲なのに、アドリブが一番の見所では無い事に、ヨーロッパ・ジャズらしさを感じたりもしますね)。
タイトルの Flash とは「閃き」の意味があります。Flashback は「回想」の意味があり、時に強い記憶が鮮明に思い出されるような印象が含まれますが、自分の音楽シーンを振り返った時に、やはりクラシックの要素は外せないな…という思いを基にタイトルを考えてみました。よく、クラシックはクラシックらしく、そしてジャズはジャズらしく…というような意見を聞きますが、双方に良い所があり、それらを踏まえたハイブリッドなスタイルも悪くない…いや、むしろ良いのではないかと思っています。こうした思いが曲や演奏に生かされればと思いますね。
…という感じで、自分の分の曲解説は以上になります。勿論、まだまだ曲に対する思いは幾つかあるのですが、前述通り、あまり説明し過ぎると、今度は想像する楽しみが減ってしまいます。自分が言えるのはここまで…という感じにしておきましょう。長い文章でしたが、最後まで読んで頂いて、ありがとうございました!
竹内大輔